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HQ短編‼︎

第3章 月島蛍 雨天決行


うずくまり続ける月島の側で私もしゃがんでいたら、「あんたは、」とぽつりぽつり月島が話し始めた。

「豪雨の中にワイシャツで飛び込もうとするしていうか実際飛び込んだし、今思えばあの時既にブラジャー透けてたし」
「うっうん」
「案の定寒くて凍えるし」
「返す言葉もございません……」
「雷怖いくせに強がるし」
「うっ……(気付かれてた)」
「最初っから下心で家に誘ったのを良心だと思い込んでるし」
「えっ⁉︎」
「なのに途中から本当に震え始めてちょっと怖かったし」
「……うん」
「そのくせ僕が上着掛けて手繋いだら顔赤くするし」
「⁉︎(知らん)」
「下着僕に見つかるし、挙げ句の果てにその格好で谷間見せつけてくるし」
「……ちょっと待って何見てんの‼︎ていうかこれ月島の服でしょっ」
「……見つけたの僕じゃなかったらって考えるとぞっとするんだけど」
「無視かい」

言いたいだけ言って、月島ははぁっとまた溜息。そうしてから、不意に笑った。

「時縞サン。もういいですよね。僕我慢しましたよ」
「何がどういいのか具体的に説明してくれませんか⁉︎」
「往生際が悪いですよ。月島ならこういうことしないとか思い込んでるデショ」
「なぜわかった」
「……っあぁもう!」
「うわ⁉︎」

珍しく声を荒げたと思ったら、月島は急にがばりと起き上がった。
ゆるゆるなスウェットの胸ぐらを掴まれる。もちろんデコルテがすっぱだける。ていうか谷間見えてたのかよ。月島の背がでか過ぎるのが悪いと思う。
という現実逃避虚しく、そのまま月島の腕の中である。

「優しくしようと思ったんですけど無理ですね。あんたが悪いんですからね」
「いや、ちょっ、ちょっタンマ」
「こうなることの予想くらいつきますよね」
「いやでも……‼︎」
「雷が怖いならもうここから自分の家に帰るのも無理ですね」
「そうだけど……‼︎」
「じゃあ」

唇が耳元に降りてきて囁く。

「……泊まっていきますよね?」

声音で察せられるのは、これから自分が喰らい尽くされるということだけ。

結局、そのおねだりに折れた私と月島が付き合い始めた日の、前日であった。
次の日から急に名前呼びしたりされたりしてお互いに冷やかされるのは、また別の話。
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