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月が綺麗ですね(黒子のバスケ:火神夢)

第1章 月が綺麗ですね(黒子のバスケ:火神夢)


だが、ユリアの両親は折れる。大事に育ててきた娘だからこそ、こう言った経験も必要なのかもしれないと納得したのだ。条件があるとすれば、娘本人が日本へ行きたいと願っている事、そして信頼するアレックスの付き添いの元で暮らす事である。

その返事に喜び、アレックスはユリアを遠慮なく誘う。やはり行動するのに戸惑ってはいたが、彼女も納得のいく説明をすれば了承してくれた。

それからの展開は早く、アレックスと共に日本へ辿り着き、久方振りに火神と再開を果たす。

かなり長い話になってしまったが、これがユリアの経緯である。WCで対決した氷室と火神の仲は再び良好に戻り、その立会い人としてユリアもその場に居る事ができた。簡潔に言ってしまえば、三人の絆はより強くなったのである。

それが喜ばしくもあり、ユリアは引き続き日本で暮らす事を決意する。二人との友情もそうだが、己の血筋の故郷であるこの国をもっと知りたくなったのだ。アパートは火神のマンション近くの物件を見つけ、何かと火神に助けてもらっている。勉強は家庭教師を雇って完全なホームスクールへと切り替えた。いずれは日本語の読み書きと発音もマスターし、日本の大学へ進学する夢も持っている。単純に少女の世界は広がり、より楽しく人生を歩んでいたのだった。

自立を覚えた彼女は、何から何まで積極的になれる。口数は相変わらず少ないが、彼女の行動は成長を物語っている。今夜の夕飯を作るのも、その成長の賜物だ。

料理の腕は火神に負けると自覚はしているが、彼に対する日頃の感謝を込める意味でもチャレンジしたかったのである。そして失敗も少なく、火神の好物でもあるハンバーガーに挑戦するのだが、ここはやはり一工夫入れたい。その想いで特大サイズのハンバーガーを作った。

フライパンにギッシリと詰まっている肉さえ焼きあがれば、あとは同様に特大サイズの手作りバンズに具を挟むだけである。

重たい肉をなんとか崩さずにバンズに乗せれば、トマト、レタス、チーズなどと言った一般的な具を入れるのはもちろんの事、カリッと焼き上げたベーコン、刺激を与えてくれる生の赤タマネギ、そして濃厚なアボカドのスライスをたっぷりと加えた。
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