第3章 Class3.岡田君の憂鬱(-.-)の巻
実は准一は随分前からはなのことを知っている。
授業中、いつも教科書に重ねるようにして隠れて小説を読んでいる准一。
休み時間ももっぱら読者だが、窓側の席からふと窓の外を眺めるのも好きである。
ある日、窓の下にある花壇の手入れを一生懸命している女生徒を見かけた。それがはなだった。
手が泥だらけになることなど気にせず、愛おしそうに花の世話をする姿が、なんだか凄く気になっていた。
准一は写真も趣味。
教室の窓からそんなはなの姿をこっそり撮ったこともあった。
はなはそんなことなど知りもせず、岡田ファンクラブ会長エリカの言うとおりに准一との距離を保っていた。
そんな准一に話しかけられて思わず動揺。
―まさか岡田センパイが話しかけてくれるなんて―
凄く嬉しかった。本当はもっと話したかった。だけどそれは許されない。
もっと話したかったのは准一も同じだった。
はながどんな声で話すのか、花以外に何が好きなのか。まだ何も知らない。
はなのことがもっと知りたい。
二人の距離が縮まる時は、果たしてやってくるのだろうか?