第8章 カナちゃんの誕生日
いっけね、と頭を掻く奴良リクオ君。
もしかして幼馴染だから、毎年誕生日プレゼントあげてる?
そう思うと何故か急に胸がツキツキと鈍く痛む。
私はそれを振り払うように普通の顔を作り、奴良リクオ君を見る。
いや、だって以前笑顔を見せたら固まられたのだ。
きっとすごく怖く醜い顔だったんだろう。そんな顔、奴良リクオ君には向けたく無い。
「プレゼント選び、頑張れ! じゃあ……」
「あっ! 有永さん、待って!」
「ん?」
そのまま、改札口に向かおうとしたら、腕を掴まれ止められた。
掴まれた場所が、何故か熱い。
うわっうわっ、手、手っ!
滅多に男の子と触れ合わない所為か、緊張で身体が固まった。
そんな私に構わず、奴良リクオ君は真剣な顔で口を開いた。
「ごめんっ、良かったら買い物手伝ってくれるかな?」
「え?」