第7章 巻き込まれた(?)GW
脱衣所で約一週間前に噛まれた肩を見た。
窮鼠の手下に噛まれた傷は、いつの間にか塞がっている。
普通の人間では有り得ない程の治りの早さだ。
なんで治りが早いんだろう?
この身体に妖怪の血が流れているから?
いや、でも普通はそんな事ないって『ぬらりひょんの孫』の漫画にも書いてあった。
奴良リクオ君の傷の治りが早いのは、珱姫の血を受け継いでいるからだ。
じゃあ、私はなんでこんなに治るのが早いんだろ?
……。お父さんが珱姫のように特殊な力を持っているから、とか?
あはは、まさかね!!
自分の馬鹿げた考えを心の中で笑っていると、タオルを巻いたゆらちゃんが声を掛けて来た。
「温泉入ってどうもないん?」
そう。肩の怪我の酷さは、現状を見ていたゆらちゃんしか知らない。
多分、まだ治りきってないから、入るのは無理なのではないのか、と心配してくれているのだろう。
「うん。もう大丈夫!」
そう言って笑うと、ゆらちゃんは「そうなんや」とホッとしたように小さく笑い返した。
そして、巻いたタオルの上から自分の胸元をポンッと叩くと、少し得意げ口元を上げる。
「今日は、安心してや。きちんと守ったる」
確か、原作でもゆらちゃんは、お風呂の中で式神を使って戦っていた。
きっと今もゆらちゃんは身体のどこかに式神を持っているんだろう。
私はその言葉に素直に頷いた。
頼りにしてる! ゆらちゃん!!