第7章 巻き込まれた(?)GW
「意外と早く見つけたんだね~。流石、清十字怪奇探偵団だ」
と、突然左側にある木々の間から、おじさんの声が聞こえて来た。
声が聞こえて来た方向に顔を向けると、木々の影から黒ブチ眼鏡をかけたずんぐりした体型のおじさんが姿を現した。
ボサボサの髪に小さな葉っぱを乗せ、顔には無精髭を生やしている。
そして着ている服はヨレヨレ。背負っているリュックには、泥がくっついていた。
その風貌に思わず眉を寄せてしまった。
このおじさん、誰?
そう思っていると、右側の草叢から清継君が目を輝かせながら飛び出して来た。
「化原先生!!」
皆は目を丸くする。私も驚きながらもおじさんと清継君の2人を見つめた。
歓喜の表情をした清継君はおじさんの手をガシッと固く握ると、上下にブンブンッと揺すった。
「ボクは清継です! お会い出来て光栄ですっ!」
「うんうん」
化原先生と呼ばれたおじさんは、清継君の言葉に鷹揚に頷く。
「言われた通り、運と感覚を磨きあげましたよ! あとは妖怪に会うだけですっ!」
「そうか、そうか。ところで」
と、突然おじさんはこちらに顔を向けた。
「あの女の子達も君の仲間達かぁい?」
「そうです! 皆、妖怪好きなマイファミリーですっ!」
その言葉におじさんは、黄色い歯を見せながらニタリと笑った。
そして、両腕を広げながらこちらにやって来る。
「いやぁ、うれしいなぁ~。妖怪好きな女の子がこんなに居るなんてね~」
平凡なおじさん。そう判っているけど、なんだか気持ち悪くて思わず後じさりしてしまった。
しかし意図してではないにしろ、清継君は私達女の子にとってナイスな行動をとった。
両腕を広げこちらに歩み寄って来るおじさんの肩をガシッと掴み、目を煌めかせながら自分の要望を敬語を使いつつぶつける。
「そんな事より、梅若丸の話しを聞かせて下さい! 化原先生! すごい伝説だと言っていたじゃないですか! ボクはその話しを待っていたんです!」
清継君の煌めく目を見ながら、おじさんは仕方なさそうにボサボサ頭をガリガリと掻いた。
「ああ、そうだったね。じゃあ、ちょっと話しをしようか~」