第4章 夜若との遭遇
「どうして有永さんが、ボクん家にいるのー!?」
いやいやいや、奴良リクオ君。妖怪化したキミが連れて来たのですよー
でも、そーいえば序盤は夜リクオ君の記憶無いんだったなー……
記憶が無い奴良リクオ君からの助けは望めない。
私は驚き慌てふためく奴良リクオ君を見ながら、乾いた笑い声を零した。
どうなるの。私。
もしかして、不審者として警察に突き出される?
いや、ここは、妖怪が住む屋敷だし……もしかして、妖怪のエサにされる!?
不安にドキドキしていると、首無さんが不思議そうに奴良リクオ君に問うた。
「若。このお方は若のお知り合いですか?」
「あ、うん。そうなんだ!」
そう言うと、私の方に早足で歩み寄って来るとグッと右手首を握られ、引っ張られた。
「有永さん! ちょっとコッチに来て! あ、首無は入ってきちゃダメだよ!」
そして、隣部屋へ引き込まれた。
障子をピシャリと閉めた奴良リクオ君は、はあ、と深い息を吐き出す。
そして、神妙そうな顔で私をジッと見つめると堅い口調で聞いて来た。
「……見た?」
「え?」
何を?
問うてる内容が判らず、首を傾げると、ホッと安堵の息をついた。
そして、さっきとは打って変わった口調で話し出した。
「いや、なんでもないんだ。それより有永さん。なんでうちに居るの?」
「えっと、昨夜銀髪の人に助けられて、ここに連れて来られたんだけど……」
「銀髪? 誰だろ、ソイツ……」
はて? と首を捻る奴良リクオ君。
考えるが思い当たる人物が居なかったらしく、カラスに聞いてみるか……と小声で呟いた。
そして、私に座布団を勧め、ちょっと待っててと言い置いて、部屋を出て行った。
と、流れ的に自分の居場所がハッキリしたので、お母さんに連絡しても訝しがられる事は無いという事を思い出す。
私は、その場から立ち上がると元の隣部屋に戻り、携帯を手にし、家の電話番号を押した。
しかし、誰も出ない。
何度鳴らしても出ない。
どうしたんだろ?
お母さん……?