第11章 邪魅事件発生
私は両手をブンブンと横に振る。
「そっか……。じゃあ、早く行こう」
と、何故か右手を握られた。そして、ぐいっと引っ張られる。
なんで!?とかの疑問がその手の暖かさに吹っ飛んだ。
顔が瞬間湯沸かし器で暖められたように、熱い。
て、て、手ーっ
なんで、手を握るのー!?
頭の中を混乱させたまま、私は菅沼家へと続く門をリクオ君と一緒にくぐった。
通された菅沼さんの自室には、護摩を焚き何やらお祈りをしているおじさんとショートヘアのおばさんが居た。
え?手?
手は玄関の入り口で、何故か氷麗ちゃんから「許しません!」と謎の言葉と一緒に引きはがされた。
恥ずかしいようなホッとしたような、複雑な気持ち。
と、ショートヘアのおばさんは、こちらを振り向くと困ったように眉を下げた。
「品子ちゃん。また連れて来たの? お祓いなら毎日神主さんが来て下さってるのに……」
お祓い? 神主さん?
私はショートヘアのおばさんの横に座っているおじさんに視線を移した。
お腹が出ているが眼鏡を掛けたフツーのおじさんだった。
確か、原作だとこの人も悪人の一人なんだよね?
菅沼さんの「だって効かないじゃない! ここの神社!」という言葉に、しょぼんっとする姿もフツーだ。
これが演技だって言うのなら、すごい演技力としか言えない。
だって、悪人だったらどこかで、ボロ出すもの。
でも、ホント、この人が悪人なんて、信じられないほどフツーだなぁ…と、思っていると皆が「「えぇええー!?」」と驚きの声を上げる。
ん? 何?