第10章 期末テストなんてあるんだね
「ごめんなさいっ!」
開け放ったドアを思わずバタンッと閉めた。
うわー、うわー、うわー!
びびび、びっくりしたー!!!
なんで、じょ、上半身裸!?
顔がすごく熱い。絶対、真っ赤になってる!
それに心臓がバクバクうるさい。
うーっ、こ、こんな時は……
深呼吸!
すーはーすーはー
「有永!」
「ふひゃい!?」
突然横から声を掛けられ、心臓が飛び出しそうになった。
この声は氷麗ちゃん?
そっと氷麗ちゃんの方へ顔を向けると、そのまま押しのけられた。
なに?なに!?
唖然としていると、氷麗ちゃんは脱衣所のノブに手を掛け開けようとする。
しかし、何故か開かない。
氷麗ちゃんはそのままドアをドンドンと叩いた。
「開けなさーい!」
どうしたんだろう?
さっきは開いたのに?
不思議に思っていると、氷麗ちゃんは何を思ったのか、ドアノブを凍らせていく。
「うわわ、氷麗ちゃん、何してるの!?」
「ちょっと有永、どうして止めるのよ! 裾を離しなさい! 若、今、お助けします!」
「いやいや、そのままノブを手前に引けば開かるから!」
「それが開かなかったのよ! アンタの母親……きっと若が魅力的だから、私を追い出したに決まってるわ! 若をお助けしなければ!」
「は、え? 追い出した?」
目を瞬かせると氷麗ちゃんは私を邪魔だという感じにドンッと押し、身体の周りに冷気を漂わせ始めた。
「若! もう少しの我慢です! このドア壊せば、すぐにでもお傍に!」
ドア壊すって……
と、脳裏に浮かんだのは、保健室の扉。
閉まっていた扉が氷麗ちゃんの力で凍らされ吹き飛んだ。
そして、この家を購入する為に、頑張って働いているお父さんの姿。
「ちょっ、やめて! ここ、私の家ー! 新築なんだから、だめー!」
「ちょっと、有永!抱きつかないで頂戴!」
「やだっ!」
氷麗ちゃんの身体はすごく冷たい。でも、負けたら終わり!
ジタバタ暴れる氷麗ちゃんに必死で抱きついた。
「離しなさい!」
「いーやー!」