第3章 腹をくくりましょう
ちなみに私が腹をくくっている間、『ぬらりひょんの孫』の主人公、奴良リクオ君は雪女と青田坊との会話は終わっていた。
「あの、有永さん?」
「え」
奴良リクオ君からの呼びかけに、ハッと現実へ意識を戻す。
「えっと、何か、見た?」
どこか困ったようなその表情に、私は思案する。
そう言えば、始めは妖怪の存在を隠そうとしてたんだっけ?
私はリクオ君の気持ちをくみ取ると、首を横に振った。
「何か怖いモノ見た気がするけど、頭が真っ白になってたから何がどうなったのか、さっぱり」
判らない。と言うと、奴良リクオ君はハア、と安心するように大きく息を吐き出した。
うん。余計な事は言わない。
そして、カナちゃんはヘタり込んだまま、壁に寄りかかり気絶。
あの爛れた妖怪の姿がすごく怖かったのだろう。
清継君と島君も床の裂け目に足を取られ転び、そのまま気絶していた。
それを人間の姿に戻った青田坊が抱える。
私達は旧校舎を後にした。
そして私は携帯でお父さんに電話すると、お父さんは数分もせず迎えに来てくれた。
こんなに早く迎えに来てくれたのは、きっと近くのコンビニかどこかで時間を潰してくれていたのかもしれない。
お母さんも過保護だけど、お父さんも結構心配症で過保護だなぁ。
前世17歳プラス今世12歳。精神年齢は大人なのに…
私は、苦笑した。
ちなみに気絶したカナちゃんの住所が判らなかったので、住所を知っている奴良リクオ君が背負って連れて帰ってくれた。
氷麗ちゃんの冷たい視線を浴びながら。
って、言うかなんで氷麗ちゃんは冷たい視線を2人へ浴びせたんだろう?
「?」
車の中で首をしきりに捻った私だった。