第10章 期末テストなんてあるんだね
カナちゃんと一緒に椅子に座って妖怪談義を聞いていると、リクオ君が突然話しかけて来た。
「あのさ、舞香ちゃん」
「ひゃいっ!?」
突然だったので、心臓が飛び出そうな程の驚きに襲われ、どもってしまった。
リクオ君は、ツボったのか、小さく吹き出す。
恥ずかしいっ!
でも、わ、笑わなくても……っ
胸の内で小さく抗議するが、リクオ君は構わず言葉を続けた。
「今日は陰陽術の稽古しないんだ?」
「あ、うん。ゆらちゃん、部活に顔出してないから」
「そっか。今日も休みなんだ・・・」
「うん。あの日、お父さんが送ってった、って言ってたんだけど…」
「ふうん。舞香ちゃんのお父さんって優しそうだよね」
「あ、うん。すごく優しいよ! 怒った所見た事ない」
「そうなんだ。ボク、父さんが居ないから少し羨ましいな…」
「え、あ……、ごめっ」
その言葉に原作を思い出した。
そう言えば、リクオ君のお父さんは羽衣狐に殺されていた。
もしかしたら、現実のリクオ君のお父さんも原作と同じく、殺されているのかもしれない。
と、リクオ君は笑いながら片手を小さく振った。
「謝る事ないよ。そうだ、今度また、うちに遊びに来てよ! 爺ちゃんもまた舞香ちゃんの父さんと話したいって言ってるし」
なんでぬらりひょんさんがうちのお父さんと話したいんだろ?
と思う前に、遊びに誘われ、嬉しさでいっぱいになってしまった。
ううっ、現金!
と、清継君が私達の前に顔をぬっと出して来た。
「君達」
「「わっ!?」」