第9章 覚醒
「すまない…。仕方なかったんだ……。自家用リムジンで向かったんだが、道が混んでて……くっ、もしかしたら主に会えたかもしれないのに……っ! 走って行けば良かった! だがしかぁし!」
清継君はガタンッと椅子を鳴らしながら勢い良く立ち上がった。
「ボクは二度と過ちを繰り返さない! そう! なぜならば、再び闇の主に会いたいからさ! 情報も多量に入って来ているし、再会の日も近いね! ふはははは! ケホッケホッカホッ」
「清継君、大丈夫っスか? 無理矢理笑うからむせるんッスよー」
「「「…………」」」
巻さんと鳥居さん。そしてカナちゃんは生暖かい視線を、島君から背中を撫ぜられている清継君に向けた。
そして3人で顔を突き合わせるとまずは巻さんが口を開いた。
「絶対会えないに千円」
「あ、私も会えないに千円!」
巻さんの言葉に、鳥居さんもはいはいっと手を上げて便乗する。
そんな2人を見てカナちゃんは眉を顰めた。
「2人共、清継君に悪いよ……」
「あ、じゃあ、家長は掛けねぇの?」
巻さんから尋ねられ、カナちゃんは真顔になり人差し指を立てる。
「会えないに千円」
結局、掛けるんだ……
心の中で苦笑していると、鳥居さんがこちらに視線を移した。
「有永さんは?」
ん? 私?
「私は……、んー、いつか会えるに千円」
原作を思い出しつつ答える。
そう。原作通りに事件が起こり続ければ、来年にある百物語組との戦いで、清継君は奴良君が夜リクオ君と同一人物だと言う事を知るハズ。
今まで原作と同じ出来事が起こって来たから、流れ的に未来も原作と同じ事が起きる確率が高い。
と、目を煌めかせた清継君にガシッと両手を握られた。
は?