第8章 カナちゃんの誕生日
しかし、1階の男子トイレには居なかった。
おかしい。
もしかして、私、半妖でもまだ妖怪として覚醒してないから、鏡の中に居るカナちゃんの姿が見えないし、声も聞こえない?
どうしよう!
カナちゃん。危険な目に遭ってなければいいけど……
胸の中に不安が渦巻く。
「おらん! どこの男子トイレなんや!」
「落ち着きたまえ! まだ、職員トイレが残っている!」
「そこや!」
清継君達が再び駆け出す。
それに気付いた私も慌てて駆け出そうとすると、後ろから名前を呼ばれた。
「あれ? 有永さん。何してるの?」
この声は、奴良リクオ君?