第1章 真央霊術院
─ふいに何処かから殺気を感じ、抱きしめていた手を離す。
天井から、か。
そう判断した私は滅多に使わない浅打を抜刀した。
卍解だけは絶対に使わない─そう心に秘めながら。
『?!..何を?!』
私が抜刀したことに驚いたのか声を荒げる彼。
まあ確かに12歳の私が抜刀するのは絵的におかしいのだろ
う。
だが此処は真央霊術院だ。
だから刀を振るうのに年齢など関係ない─そう思った瞬間今
まで感じなかった霊圧を感じた。...それほど高い霊圧ではな
いが油断は禁物だ。霊圧などいくらでも化けれる。
「誰だ」
我ながら低い声を出していると思う。
しかし私はこの怒りを沈めることができない─
それは私を罠にはめた怒りではない。
私と関係のない人物を巻き込み、傷つけた。
そのことに対して私は酷く怒りを感じている。
すると急に天井が音を立てて崩れ落ち、
それと同時に瀬野四年生が目の前に現れた。
<こんにちは化物さん♪私は貴方を殺しにきたの!
だって入学早々特別成績優秀者なんて腹が立つでしょ?
それにその年で詠唱破棄ができるなんて気持ち悪いのよ。>
吐き捨てるように呟く瀬野四年生。
聞いてもない動機を喋ってくれるとはありがたい。
だがしかし、世間一般的にはそれを逆恨みと呼ぶ。
私が何かをした、という線はこれで無くなったわけで。
思う存分暴れることができる、もちろん真央霊術院の規則内
でだが。
「ふーんそうなんだ。・・・それで?」
<は?>