第1章 真央霊術院
嗚呼そうか私はまた罠にはまったんだ。
見殺し?そんなの私がするわけない。
今もあのことを悔いているのだから─
「私は人を見殺しにしたりなんてしません。
絶対に、です」
真っ直ぐ相手を見つめる。
"信じて"
その気持ちが伝わるように訴え掛ける。
けれど彼は、
『何を言っても無駄だ!彼女たちが証言しているのだから。』
「何故彼女たちの証言を信用するのですか?(私の意見は信用
されない)」
私を信じてくれない。
何故?何故私は信用されないの?
頑張って、詠唱破棄を手に入れただけなのに。
その代償が信用なんて辛すぎる。
嗚呼、私はどうなるのだろう。
罪滅ぼしをする前に此処─真央霊術院─を追い出されるの
だろうか。
そうなってしまえば私に生きる意味はなくなってしまう。
彼らのため、罪滅ぼしのために生を選択した私。
その選択は誤っていたのだろうか。
いや正しいはずだ。
今の私には自由に生きる権利など無い。
『...それは...』
不意に言葉を詰まらせる目の前の相手。
どうしたの、早く答えてよ。
私を信用しないで彼女たちを信用する理由。
<指導者目線>
『..お前が子供らしくなくどこか疑わしいからだ』
震える声でそう答えた。
本当は、そんなこと微塵も思ってもいない。
それだけでなく12歳で詠唱破棄を取得し凄いとさえ感じてい
る。
だから今の自分は一体何をやっているのか、そう思う。
けれど彼女たちに逆らうことはできない。
人質(妻)をとられ、命令されている身だからだ──
目の前にいる彼女に何も非がないことは十分わかっている。
けれど俺は弱い人間だ。
だから、自分の大切な人を護るために他人を傷つけるんだ。
<指導者目線終了>