第6章 苦手意識
真樹斗
「じゃあ、黒兄ぃ一人で帰ればいいじゃん。」
と言って私だけ残そうとした事も。
梨沙
(真樹斗って、昔から少し強引なところがあるよね。)
思い返してみると、本当にそう思う。
真樹斗の家に行った時はギリギリまで帰してくれなかったし、一度だけ、あまりにも真樹斗が「家に泊まって!」と言っていた時期があって、仕方なく泊まった事もあった。
その時なんか、「一緒にお風呂に入ろ!」とまで言われて、かなり焦った。
幸い圭太も居たから、それは免れたけど…
梨沙
(まぁ、そこが真樹斗らしいんだけどね…)
圭太
「おい、何でドアの前で突っ立ってんだ?」
顔を上げると、圭太が扉を開けて立っていた。
梨沙
『別に、なーんでもない!』
そう言うと、
圭太
「変なやつ、良いから入れよ。」
不意に圭太に手を掴まれて中に引っ張られる。
万美
「あ、梨沙おはよー」
梨沙
『おはよう、万美』
中に入ると、万美が光紀君と楽しそうに話しながらも、こちらに気づいて挨拶をしてくれた。