第3章 真樹斗の存在
私は、小さい頃からこの匂いが大好きだった。
圭太の匂いは、私の心を癒してくれる。そんな匂いだった。
多分、皆に言ったら引かれるだろう。
だから言わない。
圭太にも言った事がない。
だけど私はこの匂いが大好きだ。
小さい頃、圭太の家に泊まって寝るときは、必ず圭太を抱き枕にして寝てた。
最初は圭太も平気そうだったけど、小学校高学年になる頃にはそれを拒んだ。
それでも言うことを聞かない私に圭太は、たまーにだったけど、一緒に寝てくれた。
まぁ、中学に入ってからは、断固拒否でしたが。
だけど、今こうして居られる事に、私は幸せを感じていた。
圭太
「……ん…」
梨沙
『ひゃ…! け、圭太…?』
幸せを一人噛み締めていると、いきなり圭太が抱き締めてきた。
その行動に、私の胸は爆発寸前。
けど、それと同時に『このまま時が止まってしまえば良いのに…』と思わずには居られなかった。
梨沙
『おやすみ。圭太…』
まだ外は明るかったが、圭太にそう言い残し、私は圭太の胸に顔を埋め、深い眠りに堕ちていった。