第1章 ドクターストップ!
アイスも食べ終わり、粉薬も頑張って飲み干し。
「寝なさい。」
「はい。」
何だか急に親子モード。
大人しくベッドに入るけど、玲司が帰ってしまうと思うと寂しくてたまらない。
アイスのミスですっかり落ち込んでしまったあたしは、相当弱気になっていたと思う。
ベッド脇に腰掛ける玲司は、ずーっと優しい手で頭を撫でてくれた。
「よくさー。」
「うん?」
どうしたの?と言わんばかりに笑った目で、玲司が布団にもぐるあたしを見下ろす。
「寂しい時に、好きな人に抱きしめられて眠りにつきたいって言うじゃん?」
「あるねー。」
「でもあれって、頭撫でられてたら気が散るし、腕枕は相手の腕がしびれないかなーって心配になるし、結局眠れないと思うんだよね。」
「あー、確かに。」
玲司は気にし出したのか、頭を撫でる手を引っ込めた。
そういう事じゃないと、玲司の手を引っ掴んであたしの頭に押し付ける。
「だから寂しくないように寝るまで隣にいて欲しいなって思うんだけど、それだと相手が暇しちゃうし、寝顔を見られるのは恥ずかしいというジレンマ。」
「結局どうして欲しいの?」
少々困惑気味、というか呆れ気味の玲司は、ゆるゆるとあたしの頭を撫でながら問いただす。
ずーっと撫でられていたいという誘惑を断ち切って、あたしはよっこいしょと体を起こした。
「あたしが寝てから帰られると戸締まりの問題もあるし、お見送りします。」
「あ、なるほど。」
立たせてもらうようにむぎゅっと抱きしめ合って、離れ難いけどあたし達はベッドから下りた。