第3章 secret.2 正体
烙抖は目だけで肯定をして、近くにあったソファーに座り足を組んだ。
「店長これお願いします」
「了解」
ベッドの値段を確認して、レジに向かおうとする店長の足がふと止まる。
「そういえば君、名前は?」
「…天羽 烙抖」
ソファーで目を瞑っていた烙抖は、片目を開けて店長をちょっと見た。
「そっか烙抖くん…ね。
僕は澤口 陽(さわぐち よう)、よろしくね」
店長の自己紹介を軽くあしらって烙抖は目を閉じた。
その様子を見てくすっと笑うと店長はレジに値段を打ち込む。
「店長すみません」
態度が悪い烙抖に代わって蓮華が頭を下げる。
「いいよ、どうやら蓮華ちゃんにはなついているようだね」
軽く手を振って蓮華の謝罪を受けとると、烙抖に視線を送る。
「そうでしょうか?」
蓮華も同じように烙抖に視線を送った。
まだ3日という短い間の付き合いで、蓮華は烙抖のことを気にかけていた。
理由は自分自身にも分からないが、ほっておけない。
烙抖は蓮華と目が合うと、不敵に微笑んだ。