• テキストサイズ

渡り廊下で恋をした

第10章 君に会いたい


「君に会いたい…?」

「うん。文学少女のゆうちゃんに添削してもらいたくて」

まだベッドの中にいる私に、先輩がノートを開いて差し出した。

書かれている言葉…ラブソングかな。

「珍しいですね。歌詞なんて記号だからどうでもいいっていつも言うてるのに」

先輩はバンドをやってる。

ギターを弾いてて、歌も作る。

かっこいいから超モテる。

モテて手が早くて優しいからセフレがいっぱいいる。

私もその一人。

ちゃんとした彼女がいるのかどうかは知らない。

「君って誰なんですか?」

先輩に尋ねてみる。

「君は…君!」

ベッドの上で、ノートの文字を目で追っていた私の顔を、先輩は覗き込んで指差す。

「ふふっ…みんなに言うてるんですか?」

私は先輩の顔を見上げて微笑む。

「えー? ゆうちゃんだけ…やで?」

先輩は私の唇に、唇を重ねる。

余計なことを言わせないために口を塞ぐみたいに。

大丈夫、私、言わない。

あなたのために。

じぶんのために。

/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp