第7章 ねぇ良太
3日後。
「遠藤くん、ごめん。私、遠藤くんとは付き合えない」
放課後の教室で、私は遠藤くんに話す。
「そう…ですか…」
遠藤くんは少し寂しそうに目を伏せる。
遠藤くん…。
「隣の彼と交際するんですか?」
「うん…」
「なら仕方ない…か。幼なじみと恋愛関係…。そんなファンタジーみたいな話、本当に実在するんですね。
俺は彼に負けたわけじゃない。幼なじみというファンタジーに負けたんです。そう思いませんか?」
「う、うん…」
遠藤くんが熱弁する。
こんなよくわからない冗談も、もう聞けなくなっちゃうのか…。
私は急に寂しくなる。
「どうして田中さんがそんな顔するんですか? 振られたのは俺ですよ。
大丈夫、名前を呼ばれて無視するようなことはないですよ。
それじゃ…さよなら」
遠藤くんは立ち上がり、カバンを持って、ひとりで帰っていった。
遠藤くん…バイバイ…