第3章 いいよ。
「いいよいいよ、全然。そういえば、私も友達同士でそんなことしたかも〜」
そう言いながら、私も彼の頬をプニッとさわってみる。
「わぁ、柔らかい。うんうん、人のほっぺって本当柔らかいね」
私は右手で彼の頬、左手で自分の頬をつまむ。
「い、いえ…。君の頬のほうが断然柔らかいです。それはもう…とてつもなく…柔らかかったです…」
彼が照れくさそうにうつむく。
「本当? もう一回、ちゃんと確認してみて?」
私は彼の手を取り、私の頬にあてる。
そして、じっと彼の目を見つめる。
彼が驚いて私の顔を見る。
でも、そっと彼の指で私の頬をなぞる。
「柔らかいです…やっぱり。こんなに…フワフワで…」
遠慮がちに、でもだんだん手で優しく包むように、彼の手が私の頬に触れる。
は…恥ずかしい…。
自分でしたんだけど、すごく恥ずかしい!
どうしようどうしよう。
「あっ…」
彼の親指が一瞬、私の唇に触れ、彼が少し手を引っ込める。
「ご、ごめんなさい。唇に触れてしまって…。あの…口紅か何か塗っているんですか?」
彼が私に問いかける。
「最近、乾燥してきたので薬用リップを塗ってます…」
私は答える。
なんか、ポーッとしてきて敬語うつっちゃった。
「あぁ、それで。なんだかしっとりしていて…。あ、あの…もう少し触れていいですか? 唇に」
「いいですよ…」
彼の問いかけに頷く。