第2章 sugar.1
だからこっち向いて、と続けた歩に一瞬戸惑うものの、俺はため息を一つ落としてから体をゆっくりと動かした。
ぽすっと歩の胸元に頭を預ける。
少し視線をあげれば二つの視線が絡み合い、穏やかな空気が流れていく。
「まだ結構辛い…?」
俺の体を心配している歩の声。
よしよしと背中や腰を撫でてくれる歩の手のひら。
「…辛いけど、平気だ」
布団の温もりと…歩の温もり。
どうしてこうも人の体温と言うものは、人の気持ちを穏やかで心地いいものに変えてくれるのか。
しばらくこんな感情を抱いたことは無かったのに。
…思えば歩と初めて顔を合わせた時、妹じゃなけれは抱けると思っていた。