第1章 僕は!!
「「キャーッ///」」
照れながらも僕は心の中で黄色い歓声をあげる。
<僕>といっても自分は女だ。いわゆる僕っ娘というヤツ。
僕はアニメヲタクだ。今まで様々なアニメを観てきた。もっとも、マンガは読めていないのだが…。
僕は今、アニメの中でも特にHUNTER×HUNTERにハマっている。
そして…大本命はキルア=ゾルディック。今や僕はリアルにキルアに恋してる。
「「あ…会いたいっっっ///」」
照れながらも、今日も夜空にお祈りをする。我ながら思う。
「「あ〜子供っぽ」」と。
もっとも僕は12歳だからまだ子供だが。それでも一応中身はピンク色だ。
しかも果てしなく…。
学校でもキモいと言われ、現在、ぼっちの事実を全身で受け止めている。
「「さびしーなぁ。僕」」
こんなのは嫌だ。
そんな僕は去年から自分が特異なことを意識し始めていた。握力は信じられない程弱いが、腕力と脚力が驚く程にある。
100m走はなんと9秒台。
だけどそんなものよりも、もっと凄い秘密がある。僕は……
魔女。
そう、魔法が使える。
でもそんな能力は友達をつくったりするのに役立たない。
だからいつも僕は現実逃避してアニメに余計浸る。
今日は意外にもクラスメイトの誕生パーティーに呼ばれていた。理由はただ、アニキャラのマネが上手いから。
別に友達とかじゃない。
パーティーの帰り、公園の物陰でランニング服の上にパーカーを羽織った格好に着替え、タクシーに乗る。
憂鬱を隠すため、キルアの妄想を始める。
そのうちに眠ってしまった。
タクシーの向かう方向が違うとも知らずに…。
ボコッッグシャッッという音で僕は目覚める。
なんとそこにはHUNTER×HUNTERの登場人物である筈のイルミが居る。
しかも、僕が乗ったタクシーの運転手が死んでいる。
恐怖のあまりに混乱し魔法で逃げようともせずに意識を手放すことしか出来なかった。