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ブーゲンビリア

第4章 入学式






「中山ちゃん、しっかりしてそうなのにね。」
「う…ほんとにごめんなさい…っていうか重いよね…。」
「そんなことないよ。まぁ役得だから気にしないで。」
「?」

にっこり笑って言われるがなんの事かよく分からずにいると、私が住むマンションのすぐ下まで着いたらしく、ここで合ってるかどうかを尋ねられる。間違いではないので頷くと、何故か山本くんは歩きながら困った様に笑って私へ言った。

「俺だから良かったけどさ、こんな無防備じゃ危ないよ。」
「…?」
「………こういうこと。」

もうすぐ私の部屋だ。意識があちらこちらに行きながらも、言い澱んだ山本くんに目を向ける。すると、静かに私を背から降ろしてふらつく私を抱き締める。咄嗟に身を堅くする私に意地の悪い笑みを浮かべ、顎を掬って上を向かされる。山本くんの顔が迫ってきて、はっと気が付いた時にはもう鼻先三センチだった。身を捩ろうにもまだアルコールが抜けていないのか思う様に体が動かない。「いやだ!」そう思ってぎゅっと目を瞑った瞬間に、声が響いた。

「めぐみ様。」

ビクッと跳ねる私の肩。ピタリと止まる山本くんの動き。冷ややかな声が響いた先に恐る恐る目を向ければ、綺麗な綺麗な微笑を浮かべた朔夜が立っていた。



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