第4章 怪我
「……江島?」
声をかけるが反応がない。
俺は江島の家の場所を途中までしか知らない。
ここからは江島に訊かないと分からないんだが。
「おい、江島。お前の家は?」
「……そこを右に曲がって下さい」
やっと反応があった。とりあえず言われた通りに右に曲がる。
「次は?」
「そこを左……」
なんとか江島のナビゲーションで、家までたどり着く事ができた。あまり喋らず、普段の江島らしくない。
「あの……ありがとうございました」
俺の背中から下りた江島は、ぺこりと頭を下げた。まだふらふらとしているが、問題はないだろう。
「ちゃんと足の手当てをしておけよ」
「はい。えっと……それじゃあ、また明日。お気をつけて」
「あ、あぁ」
江島が家の中に入るまでしばらく見守っていたが、俺もその場をあとにした。
10月末となると、空気も冷たい。これからもっと寒くなるだろう。
パーティーまで1週間。
少しだけ、楽しみだ。