第1章 紹介を兼ねたオープニング
*夜神side*
「ハロウィンパーティーをやりましょう!」
「……は?」
「うおおっ! やるやる!」
きっかけは、小野翠の言葉だった。
10月某日。俺、夜神千尋の家のリビングに、何故か数人の男女が遠慮なく思い思いの場所に座っていた。
「パーティーいいね! 俺賛成! マジ賛成なんですけど!」
このちゃらちゃらしているのは、中学校時代から部活もクラスも同じで高校も同じ佐々野克海。
中学時代は真面目だったが、高校に入ってから、茶髪に染めたうえにピアスまでして本当にチャラくなった。
「なんでやんなきゃいけないの? 私はやだ。あと佐々野うるさい黙れ」
かったるそうに言いながら、さらりと佐々野に毒にまみれた言葉を叩きつけるのは桜原美湖。
俺と佐々野と同じY高校2年生で、学年で一番毒舌と言われている。
「傷ついたよ!? 桜原ちゃん、俺めっちゃ傷ついたよ!?」
「うっさいっつってんの」
「まあまあ、2人とも落ち着いてください」
慌てて止めに入るのは1年生の江島夏樹。
いつもニコニコ笑っており、天然で、たまに全くの悪意なしで桜原顔負けの毒舌になる。
彼女が入学してすぐに天然毒舌を発動して、学校中を瞬間冷凍させた事がある。
それ以降、時折彼女は『天然魔女』と言われる事になった。本人はまったく気付いていないが。
「そうっすよ、先輩方。喧嘩は良くないっす」
女子にしては珍しい喋り方をするのは小野翠。
江島と同学年でよく喋る。
活発系と言えば聞こえはいいが、簡単に言うとエネルギーが有り余っているやつだ。それと、喧嘩の原因はお前のせいだからな?
「夜神先輩はどうっすか? パーティ賛成ですよね?」
急に話を振られても困る。というよりなんでこいつらが俺の家にいるんだ。
「俺は別に……」
「あ、賛成っすね! 江島っちも賛成だから……4対1で……パーティー決定ですね!」
「賛成だなんて言ってないけどな。それに江島も何も言ってないだろう?」
「いいんすよ。ね? 江島っち?」
小野にウィンクをされた江島はぽけっとした顔になったが、すぐに頷いた。