第1章 幼い恋
陸さんが私の唇に口紅を塗ってくれる。
「やっぱり。赤とかピンクも似合うけど
オレンジの方が紗知らしい。」
「うん……」
確かに言われてみたらそうだ。
初めてこの口紅をつけた日、そんな感じだった。
「紗知は美人だから下手に厚いメイクするより
ナチュラルでシンプルなのが似合うよ。」
「///あ、ありがとうございます」
「うん」
陸さんが笑みをこぼす。
なんか、笑った顔も素敵だな。
「お母さん見て!陸さんにメイクやってもらったの!」
母の元へ行く。
「あら、いつものより似合うんじゃない?」
「お母さんもそう思う?」
母も思うほど、このメイクは自分に合っている。
それにしても、陸さんはすごい。
一瞬で私に似合うメイクを見つけて
それを実際にやってくれる。
手際もいいし、メイクのすべてを
わかっている感じ。
なんでだろう?
「陸さんありがとう」
「いえいえ、少し自分でも研究してみるといいよ。
眉もブラウンとブラックを使い分けると
似合うと思うし」
「うん」
「さすが世界をまたにかける
プロのメイクリストさんね」
プロ?
プロのメイクリスト…!?