第5章 03
ふと時計を見ると部活が始まってかなりの時間が経っている
ただ事情が事情だ。監督も顧問も怒りはしないだろう
「、今日の部活はええから休んどき。花宮送ったってや」
「…しょーが「待って」
言葉を遮ったせいで2人の目線がこちらに向く
確かにこんな目にあってマネージャー業務をやらせるべきではない。逆の立場だったら私もそうするだろう
「…家、1人で居るの嫌だから、部活終わるの、待ってる」
これは本心だった。予想外だったのか2人とも目を見開いている
翔一はすぐに表情を戻し「そーか」と私の頭をなでる
「体育館で待っとくか?」
「私がいたほうが嬉しいでしょ」
「なんや珍しく可愛いこと言ったと思ったのにすぐ戻んのかい」
「気安く触んないでよね」
「昔は好きやったろ、頭撫でられんの」
「…別に」
そのまま彼は私の頭を撫でる。懐かしい感覚だがこんなことにいちいち喜ぶほど子供でもない
眉毛の前だしやめてほしいと、頭にある翔一の手を引き剥がした
「部活行くならさっさと部活行かせろよ」
「そうやな、監督たちも事情知らんかったら怒ってるかもしれん」
「おら、行くぞ」
「…花宮センパイ」
「あ?」
「鍵かかってたのにどうやって入ってきたんですか」
「ピッキング」
「…ふーん」
そういえばいつだったかピッキングができるとか言っていたかもしれないと、何の役にもたたない彼との会話を思い出しながら体育館へと歩みを進めた