第5章 03
入ってきた花宮は一瞬めんどくさそうな顔をしたが、さすがにこの状況を無視できないらしくこちらに駆け寄ってくる
「さん!」
「天使との邪魔をするな悪魔!」
「確かに僕は邪魔かもしれないけど、嫌がってるなら助けないと」
「天使と僕は結ばれる運命なんだ!」
男の手が離れ、意識も花宮に向かっている
バレないように体勢を直し、小さな部屋の隅へと避難しつつ逃げようとする
その様子を確認した彼は、男を蹴っ飛ばした
「ごめん。でも正当防衛だから」
細い身体だが毎日練習しているだけある。男は横をつうかして吹っ飛んび壁にぶつかった
その隙に移動しようとすると、声が近くの教室まで聞こえてきたのか野次馬がやって来る
「なにこれ!」
「ごめん、先生呼んできてもらっていいかな」
「は、はい!」
花宮の指示通り走っていく野次馬を横目に、彼は男を拘束する
その隙に男が持っていたスマホを拾い上げ、録画状態になっているのを止める
心臓がバクバクして自分の手が震えていることに気がつくと、だんだん野次馬が多くなってきた
「おお花宮、遅いと思ったら遊んでたんか」
「遊んでないですよ。今吉先輩も手伝ってください」
「いや〜ワシか弱いからな〜」
「猫の手も借りたい状況なんです」
「しゃーないなあ」
翔一も男の拘束をしようとしたところ、走ってきてくれたのか思ったよりも早く先生が現れる
事情が事情だと判断したのか複数の先生が来て対応し、男は体育の先生に連れて行かれた