第4章 02
「な…」
「別に拡散しても、公開してもいいって言ってんの
ただそれ、バスケ部の備品だからあんたは私から盗んだってことになるけどね」
「別に、バスケ部の備品だからって録画していることを移せばいいだけじゃない!!」
「まあそれ、SDカード入ってないから保存できないけどね」
先程SDカードを抜いている所見ていなかったのかと思いつつも目を見開いている姿がものすごく滑稽で、少し苛立ちが収まった気がした
そろそろ黙ってもらえないかと思い、何か言い返す糸口を探している彼女からビデオカメラを取り返して、ガンッと音を立てて彼女のうしろの壁に足を乗せると彼女はなにか言おうとしていた口を「ヒッ」と言わせて閉じた
「アンタごときか私に勝とうとするなんてどれだけ思い上がってるの?いくらバカだからって、そんなこと不可能に決まってるじゃない」
「…っ」
「まあ今回の件は先生に言ってやろうかとも考えたんだけど、入学して最初の噛み付いて来た奴だもの。救いの手ぐらい上げるわよ」
言った瞬間彼女はパッと顔を上げ、こちらに希望に喜ぶ笑みを浮かべていた
そんな彼女を見て「可哀想だ」と思いながら先程ポケットしまったSDカードを取り出して、笑った
「アンタ、私の犬になりなさいよ。そしたら全部黙っててあげるわ」
「い、ぬ?」
「そう。私の言う事を聞けばいいの。もし私の性格とか、指示していないことを勝手にやったらこのデータ、コピーして学校に渡すわ
でも黙って犬になってればいいのよ?どう?」
「誰が犬なんかに…「じゃあバラすけどいいのね」」
口をつぐんだ彼女は犬にならないための方法を探しているようで、ひたすら目線をあちらこちらに巡らせていた
そんな彼女のネクタイを引っ張って、私は「何悩んでるの」と話しかけた