第2章 Room
モニター越しにキリトの姿を確認する。
─── トクン・・・ ───
不意に高鳴る胸を抑えながら、詩乃は玄関へ向かい鍵を開けた。
「・・・・・」
「・・・やぁ詩乃」
いつもと変わらないトーンで、キリトは名前を呼んだ。
「はぁ・・・いらっしゃい。さ、入って」
「あ、あぁ」
わかっていたとはいえ、律儀にやって来るキリトをみて、気がつけば詩乃の顔は綻んでいた。
「ふふっ」
「な、何だよ」
「別に~?」
詩乃は意地悪そうに切り返し、キリトを部屋へと招き入れた。
「お茶とコーヒーどっちがいい?」
詩乃は冷蔵庫を開けながらキリトに尋ねた。既にコーヒーはスタンバイ済なのだが、念のため、今一度の確認をする。
「えとじゃあ、コーヒーで」
「ん」
前もって準備しておいたコーヒーを持って、詩乃はテーブルに着く。
「どうぞ」
「サンキュ」
「それで?」
座るやいなや、詩乃が先手を仕掛けた。用件については察しがついているため、詩乃は必死に平静を装い、キリトに尋ねるので精一杯だった。
「いや、あの・・・さ」
「何よ」
「・・・・・」
「・・・・・」
暫しの沈黙が流れる。