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これが、逆トリップですか・・・

第8章 穏やかな時間


「・・・おや?」

扉を開けてリビングを歩き
匂いがする元のキッチンに顔を出せば
カラフルな髪色が見えた。
目を丸くする。


「あ、おはようございます藤宮さん。
起こしてしまいましたか?」


振り返った黒子くんと目が合って
彼は申し訳なさそうな表情を浮かべ
遠慮気味に尋ねる。
私は首を横に振って否定をした。

「いいえ、違いますよ。
たまたま目が覚めただけですから。
所で何をしてるんですか?」

「朝食を作ってんだよ。
俺たちも作れっから。」


「朝食を?」


火神くんが、フライパンと
菜箸を持ちながらこちらを振り返る。

「藤宮の料理には敵わねーけど。」


なんだか、嬉しいことを
言ってくれると思いながら
なんとも言えない感情が
湧き上がった。


「・・・ありがとうございます。」


ポツリと小さく呟くと
お安い御用だと彼らは笑った。


「紅茶、飲むだろう?」


朝食を作ってくれているため
私は何もする事がないため
とりあえず、紅茶を飲もうと
していた所、まさにタイミング
ピッタリで赤司くんが
紅茶を持ってきてくれた。


なんだろう、お嬢様になった感じだ。


「ありがとうございます。」

私は紅茶を口に入れて
ゆっくり飲み込んだ。

穏やかな時間と空間に
居心地がよくて小さく息を漏らした。


こういう時間も悪くない。

そう、思いながらキッチンを動く
彼らの背中を眺めた。


「おら、出来たぞー」


火神くんの声と同時に目の前に
ことりと置かれたのはフレンチトースト。
ふわりと香る甘い匂いが食欲をそそる。
他にもベーコン、半熟卵にサラダと
昨日買ったヨーグルトも添えられていた。

「凄く美味しそうですねぇ」


「口に合うといいけどな・・・」


困ったように笑って火神くんは
フォークとナイフを差し出した。
それを受け取って私は笑う。


「大丈夫です、間違いなく美味しいですから」



「そりゃどーも・・・」


プイッとそっぽを向く火神くん。
照れたのだろうか?耳が赤い。
隣にいる黒子くんは苦笑いを浮かべている。


「いただきます」


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