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これが、逆トリップですか・・・

第8章 穏やかな時間


「ふぅ・・・」

時計を見るともう、日付が
変わっている。
もうこんな時間かと思いながら
紅茶をカップに入れた。

これを飲んだら寝ようか。

部屋は静かだ。
彼らは寝たのだろう。
お風呂に入る前、おやすみ。と
全員挨拶して来たから。


紅茶を口に入れて
深く息を漏らした。


「晴華さん?」


「おや、黒子くん。
まだ起きていたんですか?」


「はい、少し本を読んでました。」


「そうですか。」


少し、眠そうな表情に
私は小さく笑う。
本を読むのに集中していたけど
体は眠気を感じているのだろう。

「僕も飲んでいいですか?」

「紅茶を、ですか?」

てっきり、寝るだろうと思っていたから
黒子くんの言葉にキョトンとする。
そんな私の反応に黒子くんは首を傾げた。

「眠くありませんか?」


「・・・・大丈夫です。」


間があったけれど、大丈夫か。
まぁ、本人が大丈夫というなら
もう何も言えない。
私は椅子から立ち上がって
カップを出して紅茶を入れる。

「はい、どうぞ。」


「ありがとうございます。」


黒子くんは、一口飲んで
それから美味しいと微笑んだ。
黒子くんは、他の人よりも
静か・・・クールと言えばいいのか
とにかく、騒ぐ方ではないから
黒子くんとの会話は穏やかで好きだ。

決して、他の人が騒がしいから
嫌いと言っている訳ではないけれど
穏やかな口調と雰囲気が
居心地を良くさせるのだろう。


「藤宮さん。」


「はい?」


「ありがとうございます。」


「え?」


「僕たちをこの家に
住まわせてくれて。」


礼儀正しく頭を下げる黒子くんに
私はやっぱり、律儀だと笑う。


「他の皆も、何も言わないですけど
感謝してると思います。」


「そうですか、それならよかった。」



困ってるから、とか
心配だったから、という優しさで
ここにいるように言った訳じゃない。

ただ、この不思議な現象に
偶然出会った。それは何かの
縁なのかもしれないと思った
ただ、それだけの事だ。





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