第8章 穏やかな時間
彼らが帰った後・・・
異様な空気に包まれ沈黙。
私は眉を寄せ、困ったと
頭に手を乗せる。
確かに、たまに・・・たまーに
ああいうふうにして来る事は
今までもあったけれど
このタイミングでするなんて・・・
この場合・・・何でもない振りをしよう。
それが一番いい。
「お風呂、入って下さいね。」
ニコリと笑ってリビングに行く。
相変わらず彼らは無言だ。
小さく溜息を漏らす。
そういえば・・・
「皆さんお手伝い
ありがとうございました。」
『!!』
ん?顔が赤い・・・?
首を傾げキョトンとする。
「お、俺お風呂入るっスー!」
「・・・僕も入って来ます。」
「俺も行くわ・・・」
黄瀬くん、黒子くん、火神くんは
そそくさと逃げるかのように
お風呂場に早足で行ってしまった。
「どうしたんでしょう?」
「晴華ちんって、鈍感だよねー」
「・・・は?」
「それは同感なのだよ・・・」
「なんですか一体・・・?」
「お前には分かんねーよ。」
なんだ、その言い草。
少しムッとしたけれど
本当に分からないから
何も言えない。
仲間外れ気分だ。
そんな事を思っていると
赤司くんと目が合う。
「藤宮はそのままでいいさ。」
「・・・・・・」
ふわりと綺麗に微笑んで
お風呂に入って来るよと
お風呂場に歩いて行った。
なんだろう、この複雑な気持ち。
褒められたのか?
そんな気がしないのだけれど・・・
「まぁ、いいか・・・」
小さく欠伸を漏らす。眠い・・・
今日こそは穏やかに眠れるだろう。
その前に仕事を終わらせなくちゃな。
私は、よしっと呟いて
気を引き締めた。