第8章 穏やかな時間
ゆっくりと、2人が
近づいてくる。
「え・・・」
今度は反対の頬と
額に柔らかい感触。
「あぁぁ!ちょっとー!」
悲鳴に近い叫び声。
うるさいと思いながらも
言えなかったのは
私が動揺していたから。
「何をしてるんだい?」
「突然すぎませんか?」
赤司くんと、黒子くんの
無表情+冷ややかな視線は
私に向けられていなくても怖い。
「晴華ちん、避難ー」
「ったく、何やってんだ。」
不機嫌な様子の
紫原くんと青峰くんに
引っ張られて、玲達から離れる。
「何って、見て分からない?
お別れの挨拶をね?」
「ここは日本だって
言ってんだろ!?」
「火神よー、日本も外国も
関係ねーよ。」
「そーそ。俺達は
したかったからしたんだよー」
心底楽しそうに笑う玲達。
向けられている暗いオーラも
気にしないというように。
「ふふっ、それじゃ帰るね。」
とてつもない爆弾を落として
彼らは涼しげな表情で
颯爽と帰っていった。
『・・・・・・』
嫌な沈黙が流れる。
ここはどうしようか・・・
こういう時は触れないのが
一番だ。
彼らは実は皆の反応が面白くて
からかっているだなんて
今は言えない雰囲気。
「あーあー・・・面白かったなー?」
笑いながら歩く帰り道。
あの時の反応は傑作と
いっていい。
「全く、面白い反応してくれるぜ。」
「ふふっ・・・けど、晴華は
気づいてないだろうね?」
僕達が彼らの反応を
面白がってした事だけじゃないって
事、気づいていないだろう。
それが、晴華らしい。
「今頃どうなってるかな?」