第8章 穏やかな時間
お風呂から出てきた
紫原くんと青峰くんが
眉を寄せてこの光景を見る。
「晴華ちんが潰れるー」
そう言って、紫原くんは
ゆっくりと私に近づいて
私を抱き上げた。目を見開く。
「えっ・・・」
女といえど成人している
大人を持ち上げるだなんて。
体も大きければ、力もあるんだなぁ。
「どさくさに紛れて
何をしてるんですか紫原くん」
黒子くんが厳しい声で言う。
紫原くんは気にした様子もなく
そのままソファーに座って
私を膝に下ろした。
・・・なんですか、これは。
横からの殺気の混じった視線に
私は顔を引つらせた。
「紫原っち何やってんスかー!」
「早くお風呂入って来なよー」
うるさいなと言わんばかりに
払うように手を振る紫原くん。
「やってくれるじゃん。」
ピクピクとこめかみを動かしながら
完全な作り笑いを浮かべている俊。
私は小さくため息を漏らす。
より、騒がしくなったなぁ・・・
「ほら、皆さん早く
お風呂に入ってきてください。」
不満そうな表情を浮かべる彼ら
赤司くんは相変わらず何を
考えてるのか分からないけど・・・
お風呂を促せば渋々と
リビングから出ていった。
「紫原くん暑くないですか?」
「んー?別にー」
「こいつ・・・」
青峰くんが、ポツリと声を出す。
首を傾げた。
すると、近くにいた玲も
おや・・・?と言う。
「おい、寝てんじゃね?」
「えっ」
翔の言葉に目を丸くして
後ろを見れば、目を閉じて
くぅくぅと寝ていた。
「風呂に入ってすぐ寝るとか
小学生かよ・・・」
呆れたように肩をすくませる
青峰くんに私も苦笑いをして
この状況をどうしようかと考える。