第8章 穏やかな時間
「ふふっ・・・彼らには悪いけれど
少し試すような事を言っただけで
彼らの存在を煩わしく思ってる
訳じゃないよ。」
「んまぁ・・・漫画のキャラで
ある意味有な感じだしなぁ〜・・・」
「まぁ、問題はねぇだろ。
だが・・・現時点では、だけどな。」
「・・・そっか。」
私は小さく笑って頷いた。
こんなに親身に考えてくれるのは
本当に嬉しい。
きっと、私に何かがあったら
真っ先に動いてくれる事も分かる。
自惚れと、周りには言われるかも
しれないけれど。
「ありがとう。」
「ふふっ、なんですか?突然。」
「ううん・・・大好きだなぁってね。」
『・・・・・・・・・』
普段言わない言葉が漏れたのは
きっと、今この時間が暖かくて
穏やかだったからに、違いない。
「っ・・・不意打ちすぎるだろ」
「あぁーもう!可愛いなぁ〜!」
「えっ、ちょ・・・ちょっと!」
ぎゅうぎゅうと、抱きしめられて
慌てた。彼らの耳が赤い事に
気づかないのは、鈍感ゆえか。
「ありがとう、晴華。」
嬉しそうな口調に、私も
つられて笑う。
「あぁー!何やってんスか!?」
大きな声に振り返れば
お皿洗いが終わった黄瀬くん達が
リビングに来ていた。
俊は見せつけるように
更に強く抱きしめた。
「何って、抱きしめてんのー」
「離れるのだよ。」
「何だ、羨ましいか?」
ニヤリと翔が笑えば
緑間くんは、何故か顔を赤くして
視線を逸らす。
「藤宮が真っ赤だ。」
「ふふっ、おあいこです。」
クスクスと笑う玲に
一瞬、赤司くんの眉が
ピクリと動いた気がした。
「藤宮さん、大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です。」
両方から囲まれている状況に
黒子くんが心配そうに私を見た。
相変わらず優しいなぁと思いつつ
笑って返す。
ガチャ
「お風呂出たよー」
「あっち・・・おい晴華・・・って
何やってんだお前ら。」