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【黒子のバスケ】甘い秘事【裏*R18】

第9章 *オレにわがまま言って?【黄瀬涼太】*


黄瀬side



「やばい…!もうこんな時間っスよー…!」



オレは今走ってる。
仕事帰りだからスーツに身を包んで、片手には鞄と……コンビニで買ったケーキ。


早く終わったから、帰りにケーキ屋さんに寄る筈だったけど……同僚に呑みに誘われて行けなかった。

そのお詫びと言ってはあれだけど、ないよりマシだと思って。


今日……彼女の誕生日だから。



「ハァ、ハァ、っ、ハァ……っち…!起きてる…?」

「あっ、涼太」

「ごめんっち…!呑みが長引いちゃ、」

「ううんいいの!お疲れ様、疲れたでしょ?」

「えっ……」

「お風呂入る?それとも小腹すいてる?」



合鍵を使って中に入ると、そこには怒ってるっちでも悲しんでるっちでもない……普段通りの彼女がいた。


一緒にお祝いしようって約束してたのに……断れなくて呑みに行っちゃったのにちっとも責めたりしない。


どうして……



「簡単なもの今作るから!その間にお風呂どうぞ」

「あ……」



どうして……なんて思ってた時、オレは見てしまった。
冷蔵庫の中に入ってた……沢山のご馳走を。

主役なのに『料理は私が作る!』って聞かなかった事を思い出して、申し訳なさでいっぱいになった。


しかもご馳走を手に取るわけじゃなく、また新たに作ろうとしてるっちを見て……


オレは堪らず後ろから抱き締めた。
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