第2章 *同棲初夜【黒子テツヤ】*
僕、さんが恥じらって小さくなる姿を見るのが好きなんです。
俯いて、僕の胸におでこくっ付けながら呟く「恥ずかしい……」が堪らなく可愛い。
だからいつも軽く触れるだけのキスを最初にするんです。
いきなり深くしたら、それを通り越して蕩けてしまいますから。
「さん」
「私……ああごめん、今日ダメ……」
「恥ずかしがるのはいつもの事じゃないですか」
「そうだけど……それプラス緊張が……」
「大丈夫です、僕もですから」
ぽんぽんと背中を優しく叩いてあげると、とんでもない上目遣い付きですがこっちを見てくれます。
瞬間ざわめく身体に「参りました……」ってお手上げ状態。
こうなってしまうと、僕は制御出来ません。
さんと居るとどうもダメなんです。
この人にもっと触れたいと思う。
「さん……」
「っ、んん……」
僕は彼女と出逢うまでそんなに性欲はありませんでした。
無縁でしたし。
けど人間不思議なもので、大切な人が出来ると欲求が生まれるんです。
この人ともっと話したい。
手を繋ぎたい。キスしたい。抱き締めたい。
好きという感情が抑えられなくて、その気持ちを相手に分かって欲しいから、こうして人肌を求めるのかもしれません。
「あっ……今日ダメだって…っ、あぁっ……はぁ…っ」
「すみません……けど止まりません……」
「首やっ……ぅんん…っ!」
「良く感じるみたいですね……いつもなら首筋だけでそこまで息吐かないじゃないですか……」
「今日が……同棲初めての夜だから…っ、」
「意識していたんですね」
「うんっ……」
「ではとびきり甘い時間にしましょう、さん……」