第5章 *新婚旅行【赤司征十郎】*
赤司side
これは、今から約1ヶ月前の会話だ。
『どこにするか決めたかい?』
『あ……えっとね、その……』
『ん?……へぇ、お前はタヒチに行きたいのか』
『ち、違…!』
『ならその資料はなんだい?行きたいんだろう?』
『っ……でも海外だし……』
『構わないよ。そこにしよう』
旅の名は新婚旅行。
の好きな場所へ連れて行ってあげたかった。
遠慮せずに考えるといいって言ったのに、海外は何かと大変だと思ったのか誤魔化されてしまったが。
けどあれだけ大量に資料が広げられていては考えが筒抜けだ。
全てタヒチに関するものだったから。
「、そろそろ到着するよ」
「ん……あれ…?私寝てた…?」
「ああ、ぐっすりとね」
「ご、ごめん…!暇だったでしょ…?」
「いや……お前の寝顔を見ていたからね、飽きなかったよ」
「えっ!ずっと…?」
「ああ、そうだよ」
「うぅ……」
そして今オレ達はタヒチ行きの飛行機の中。
にとっては初めての空の旅。そしてファーストクラス。
搭乗時にははしゃいでいたが、いつの間にかオレの肩に頭を預けて寝てしまった。
スヤスヤと寝息をたてて眠っていた彼女が愛しくて、オレは言った通りずっと……
……いや、違う。
オレも少し眠った。
の頭に頬を寄せて。