第4章 *初めては恥じゃない【伊月俊】*
……かのように思えた。
「ハァ……」
「ん?どうしたんだ伊月、溜息なんかついて」
「木吉……」
「何か悩み事か?オレで良かったら聞くぞ!」
まだ終わってなかったんだ。
今度は違う問題に直面してしまって……どうしても目の前の壁を壊せないでいる。
……きっと誰もが通る道。
いや、きっとじゃなくて絶対。
「そう言ってくれるのは有難いんだけど……ちょっと言いにくい」
「誰だって悩みを打ち明ける時はそんな感じさ」
「木吉はそうでもなさそうだけどな……。ていうか多分木吉には分からないと思うよ」
「オレには分からない…?」
「の事だよ」
その道とは……つまり……アレだ。
どうか〝アレ〟だけで理解してもらいたい。
オレ達が駒を進めたのはキスまで。
それもライトなもの。
「俊先輩っ、んー!」っておねだりしてくるは……ヤバイ。ヤバイくらい可愛い。
そこにオレは軽く触れさせるわけだけど……
もう……堪えられない。限界をとっくに突破している。
ここ最近は悶々として、毎晩頭をぐしゃぐしゃにする日々が続いていた。
「ほら……好きでしょうがないとあれだろ…?その……なあ?」
「わからん」
「彼女とこう……イ、イチャイチャしたいっていうか、なんというか……つまり……えーっと……なあ?」
「サッパリ分からん」
「だからさ…!シ、シたいって思うんだよ、オレ…!と…!」
「するって何をだ?お前が何を言いたいのか全く伝わってこない!」
「……やっぱ木吉には無理だったな」