第4章 *初めては恥じゃない【伊月俊】*
「えっ?ちゃんがオレに?」
「ああ。外で待ってんぞ」
あれから暫く経った頃。
基本の練習時間を終えて、少し残るかなと思っていた時に日向がやって来た。
なんでもちゃんから話があるそうだ。
結局これまでギクシャクしたままだったからちょっと背筋が伸びる。
「早く行ってやれよ」
「あ、ああ。外にそっと行って来るよ」
「行けなくしてやろうか、ア?」
「……イッテキマス」
それにしても話って何だろう。
……まさかあの日の続きを?!
あの後毎日、もっとちゃんと伝えるかどうしようか悩んでて……残念な事にまだ答えは見つかっていない状態。
こっちの気持ちはバレちゃってるんだし、ちゃんにしっかり好きだと言いたい。
けど彼氏とは結局どうなったのか聞いてないから……ウジウジと考えていたわけだ。
「えっと……ちゃん…?」
「あっ、先輩。すみません、呼び出したりして……」
「いやっ、いいよ別に。用って何……かな?」
「は、はい……。あの……私彼とは別れました。あれから直ぐに」
「えっ、良かったのか?それで……」
「いいんです。話をもう一度してみたんですけど……やっぱり私より他の子らしくて」
「そっ、か……」
「それで……先輩は……」
「オレ…?」
「は、はい。えっと……あの時言ってくれた事、あれは本気ですか…?」
やはり話とは続きだった。
思い出しただけで穴に入りたい気分になる。
でもちゃんのおかげでようやく答えが決まった。
「本気ですか」って聞かれて「冗談だよ」なんて返せるわけがない。
言おう。今度こそしっかり想いを届けるんだ。