第4章 *初めては恥じゃない【伊月俊】*
伊月side
「伊月先輩!練習お疲れ様でした!」
「ありがとう。ちゃんも」
オレは今……してはいけない恋をしている。
一つ年下の彼女に惹かれて、ここ数ヶ月自分の想いと格闘していた。
明るくて、気配りが出来て、でもちょっとそそっかしい。
そんなちゃんが……好きなんだ。
凄く凄く好きなんだ。
でも……
「おい、彼氏来てるぜ」
「ホント?!ありがとう火神くん!じゃあ伊月先輩、また明日!」
「ああ、またな」
ちゃんには彼氏がいる。
オレは分かってて惚れてしまったんだ。
ダメだ。
好きになるなんて迷惑だろ…!
ちゃんの事はただの仲間だ。
彼女と話す度にこう自分に言い聞かせるけど、否定すればする程深みにハマってしまう。
バスケ優先にしてたオレがここまで1人の女の子に魅入られるとは……。
「おい伊月、残るかー?」
「あ、ああ。そうだな」
「……いいのか、このままで」
「いいも何も……ちゃんには彼氏がいるだろ」
「まっ、毎日ダジャレ連発して未だ嫌われてないだけマシか」
「酷いな日向……」
「しかしお前に好きな人が出来るとはな」
「何その意外そうな言い方」
「だってお前、女にデート誘われても断ってただろ。興味ねぇのかと思ってた」
「まあ出掛けるくらいなら練習してたいとは今でも思ってるよ。けどあの子とだったら行ってみたいとも思える。楽しいだろうな……」
「……」
「な、何?その白い目」
「伊月死ね」
「何で?!オレ今ダジャレ言ってないよね?!」