第11章 *温泉旅行で【氷室辰也】*
離れたのは本当だ。
でもが目を開けた瞬間……オレは距離を詰めてキスをした。
薄目で様子を伺えば、予想通り見開いてこっちを見ている。
そのまま舌を割り込ませると、ちょっとだけビクッとされてしまったが……
次第にゆっくりと目を閉じて……オレのキスに応じてくれるようになった。
「……今日は一段と可愛いよ……」
「んっ…!あっ……ん、ぁ……」
多少乱れた浴衣から覗くの素肌にオレの唇が誘われる。
首筋辺りに何回も何回もキスを落としながらそっと帯を引っ張ると、はもっと身体を見せてくれた。
白く透き通るような肌をしている。
直に合わさりたくて……オレも自分の帯を解き、唇はそのままに優しく抱きしめた。
「ぁ……辰也さん…っ」
「ん…?なにかな……」
「髪が擽ったくてっ……」
「でもオレはこうしてたいんだけどな……」
「ふぁ……ぁンン…っ」
「可愛いな……ホントに……」
いつもの家でシていた時とは雰囲気が違う。
ベッドが布団に、私服や部屋着が浴衣に変わって絵を作り出している。
だからだろうか。
今日オレは……冷静でいられそうにない。
そのうち激しく抱いてしまいそうだ。
「、足りないよ……」
「あ……え…?」
「もう浴衣は必要ないな……。、袖……」
「えっ……や、やです辰也さんっ……」
「嫌なのか…?そうか……なら仕方ないな……」
「今のままでも恥ずかしいのにっ……ひゃ!待っ、いきなり…!」
「すまない……。参ったな……オレ今回は全く自信がないよ……」