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Re:思い出

第2章 思わぬ出来事


でもひとつ大事なこと、いいですか。


「私、ヘビースモーカー。1日吸えないなら多分死ぬ」
クロサワの大きなため息が聞こえた。一番の心配それかよって呆れ声。

「僕、化学の教員ってことになるからそう言うときは準備室おいで」
神様!オーナー、あなた神様だったのね! オーナーに銘柄を伝えストックをおいてもらうようにした。
あんなに呆れてたクロサワもちゃっかり伝えていたことを私は見逃さなかった。

「じゃ、クロサワ君は2年間楽しむこと。アズサちゃんは研究忘れないでね」
そう言ってオーナーは帰っていった。
私たちはしばらくの間、ただ呆然と立ち尽くしていた。

とりあえず分かる事は、私に巻き込まれた所為でクロサワは此処に居る。
そのくらいは脳みその少ない私でも分かる。

「クロサワコーキ。私のせいみたい、ごめんなさい」
オーナーのせいだけど間接的に私のせいでもあるから私はクロサワに謝った。



「タチバナさん、とりあえず、一本吸いますか?」

クロサワは諦めたのかなんなのか結構この事態をすんなりと飲み込んだらしかった。
紫煙を吐き出しながらクロサワはコーキでいいっすよ、そう言った。
でも私は多分暫くはそう呼ぶことはないと思う。

だってせっかくの後輩君。
この距離感を楽しみたい、そう伝えた。

「変な先輩」
クロサワも私の意見に賛同してくれたようだ。


煙草を吸っている間、この状況を頭の中で整理した。
うん。分からん。

分からないなら、分からなくていいや。
とりあえず今ある状況を楽しもう。

そう結論つけたのは納期ギリギリの仕事と、慣れてきてちょっと飽き始めた社会人生活。
あとは、なんだろう。過去への後悔? もっと楽しみたかったな、っていう気持ち?
それ以前の問題かもしれない。

だってこの状況、何度も考えた事はあるが実現するはずのないと思っていたことだ。
過去に戻ってもう一度、やり直す。
望んだところで叶うはずのない夢のような状況。

私は楽しい事が大好きなのだ。楽しまないワケがない。
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