第1章 バイオレンス・オア・トリート
リヴァイは常に眉間に刻まれた皺を更に深くしながら、
食堂の一角に立っていた。
周囲には兵士が遠巻きにリヴァイを見ては顔を赤くして、
声を掛けようかと相談し合っているのだが・・・
機嫌の悪いリヴァイはそれに気づかない。
リヴァイの機嫌が悪い理由は、
団長命令で強制的に仮装させられた事だった。
何が悲しくて三十路のおっさんが、
仮装などしなければならないのかと奥歯を噛み締める。
しかも、その仮装が黒猫とは・・・っ!!
この衣装を提案して、作った奴らの気がしれない。
むしろ嫌がらせか!?と疑ってしまう程、
自分に似合わないとリヴァイは思っていたが、
周囲は人類最強の黒猫姿にウハウハしていたのだった。
黒耳に黒い尻尾、黒を基調としたボディにフィットするデザインは、
リヴァイの色気を充分引き出していた。
可愛くもあり色気もあるという、けしからん出で立ちに
兵士達は歓喜していたのだが・・・・
残念ながらリヴァイが恐くて話し掛けるような猛者は
存在しなかった。