第1章 バイオレンス・オア・トリート
「リヴァイ」
声を掛けられ「あぁ?」とメンチを切る勢いで振り向くと、
そこには白猫に扮したナナシがいて、
リヴァイは思わず息を呑む。
何だ、この異様に似合ってる様は・・・。
相手が男だとわかってはいるが、目の前にいるナナシが
どう見ても女にしか見えずゴクリと喉を鳴らす。
ある意味対になるような出で立ちのナナシが
リヴァイの横に並んで立つと、周囲が更にどよめいた。
「エルヴィンに意地悪されて、お菓子を貰えなかった」
シュンと項垂れるナナシから漂う哀愁が半端ない。
その姿を見て、流石のリヴァイも可哀相になり
「そういえば、あめ玉くらいは持っていたな」と
持っていたキャンディーを渡してやると、
ナナシは目を輝かせて喜んだ。
「ありがとう、リヴァイ!お主は優しいな!」
ハムハムとあめ玉を頬張るナナシは本当に幸せそうで、
リヴァイの頬も自然と緩む。
それを皮切りに周囲で様子を窺っていた兵士達が
二人に押し寄せてきて、お菓子を渡してきたのだった。