第1章 バイオレンス・オア・トリート
「誰か助けて!」と声を上げようとすると
唇で口を塞がれるし、本格的にマズイと感じる。
大体ここは食堂で他の兵士達もいるのに!と
横目で食堂の様子を窺うと、
リヴァイとミケが壁のように立ちはだかり
兵士から見えないようにしているようだった。
・・・いや、そこは壁になっていないで
私を助けてくれ二人共!
私は今セクハラを受けているんだ!
だが、そんな願いも虚しく、
彼らは自分達に背を向けたまま壁に徹していて
全然此方を振り返ってくれなかった。
エルヴィンの拘束もがっちりしていて、
振り解くのが大変そうだ。
どうするか考えたナナシは、
エルヴィンの唇が離れると涙目を浮かべながら
「にゃーにゃー」と鳴いた。
しかも、顔を赤くして少し目を伏せながら・・・・。
色仕掛けの一種である。
多分エルヴィンは変態だからこういう趣向には弱いだろう。
ちゃんと子猫のようにプルプル震えるオプション付きだ。
狼狽えればそれだけ隙が出来るはず・・・。
案の定エルヴィンは、動きを止めてナナシを凝視した。
この色仕掛けはかなりの羞恥心が伴うが、
自分の貞操を守るためには仕方ないと自分に言い聞かせ
「にゃーにゃー」と縋るようにエルヴィンの胸板に
顔を埋める。
スリスリ胸板に頬擦りすると、エルヴィンの身体が
ビクリと跳ね・・・・下の方から何か固いものが当たってきたが、
ナナシは必死に我慢した。