第1章 バイオレンス・オア・トリート
――エルヴィン・スミスの理性は崩壊寸前だった。
ナナシが自分の手からチョコバーを食べる姿はとても卑猥で、
興奮を隠し切れない。
齧ったり舐めていたりする時見える赤い舌に
吸い付きたい衝動を必死に抑えながら、
太腿に感じるナナシの双丘にも意識を集中させる。
自称男のナナシのお尻は、女性のように柔らかかった。
まずい・・・
自分の中の狼が暴れ出しそうだ。
だが、この素晴らしい状況を手放す事は不可能で、
どうやってナナシを人気のない場所へ連れ込むか
必死に考えを巡らせた。
そんなエルヴィンの心中を悟ってリヴァイとミケとハンジは
呆れたような眼差しを彼に向けていたのだが、
自分の世界に浸っているエルヴィンはそれに気づく様子はな
い。
ぶっちゃけ、今のエルヴィンとナナシの姿は他の兵士達にとって
目の毒でしか無かった。
エルヴィンはその身体から物凄いエロフェロモンを醸し出しているし、
ナナシはお菓子に夢中なだけかもしれないが指を舐めている姿は
情事を思い起こさせるようにエロかった。
ハンジが(個人的な)資金稼ぎの為にモブリットに
今の二人をスケッチするように頼むと、
彼は顔を真っ赤に染めながら渋々筆を進め始め、
ハンジの下には予約者の列が出来る始末である。
取り敢えず、エルヴィンが変な気を起こそうとするまでは
放っておくか、と結論付けてリヴァイとミケは
酒を飲み始めた。